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高麗人参=御種人参

漢方

2015年03月22日


(写真はネットより拝借しました)

漢方薬で使うニンジン、正式名称は御種人参(おたねにんじん)といいます。
高麗人参、朝鮮人参、紅参、生干人参… 産地や加工法によって、いろんな名前があります。

加工法によって、効果も変わります。
血証が強い時は、生干人参より紅参(蒸した人参)を用います。

人参は742年に初めて日本に入ってきました。長らく高価で希少な薬でした。栽培はとても難しく、長らく成功しませんでした。
江戸時代になって、ようやく日光で国産化に初めて成功し、江戸幕府が諸大名に配って生産を奨励したので、「御種人参(おたねにんじん)」と命名されました。

漢方勉強会での、生薬の勉強では、いつも味見させてもらいます。人参もいろいろな品質の人参を味見させていただきます。見て、味わって、の生薬の勉強です。
でもこの大きな人参、相当に希少なもので、もう手に入らないらしく、生薬問屋さんが「見るだけにして」と…=^ェ^= 
よい生薬は、だんだん手に入らなくなってきているのです。

人参には、鎮静作用と興奮作用という相反する薬理作用があり、服用した人のその時の生理状態で必要とする作用が機能します。がんばらなければならない人が人参を飲めば興奮作用が働き、睡眠が必要な人には鎮静作用が働きます。
(平成薬証論より)

同じように、プラセンタにも、鎮静作用と興奮作用という相反する薬理作用があります。

「ここ一番、頑張らなくてはいけない」時には、ユンケルやカフェインのように働きます。集中力も上がります。

「今日は休みたい」時には、穏やかな鎮静剤として安眠に導き、体力を養い蓄えてくれます。

当院で処方しているプラセンタドリンクには人参が入っていて、優しく体調を整えてくれます。

ビタエックスドリンク 1080円(税込)

ヴィヴェンシアクリニック 野町

漢方選定の物差し

漢方

2015年03月22日

昨日今日と漢方の勉強会にきております。

基礎講座で、漢方薬を選定する大原則について、分かりやすく解説していただきました。

《漢方選定の物差し》
(1)寒熱病に対する温冷薬…冷えている時は温める薬を服用します。
(2)虚実に対して補瀉薬…足りない時は補う薬を服用します。
(3)病位病状に対しての三陰三陽病…体のどこにどんな病気があるかを見定めます。
(4)病因に対しての気血水剤…気が滞っているのか?体内毒素(お血=おけつ)がたくさんあるのか?水が滞っているのか…を見定めます。
(5)病位病状に対しての経絡…経絡とは、ツボの並び。病気があると、特定のツボに変化が現れます。
(6)薬物選定の決め手としての証(望証、聞証、問証、切証) …問診、顔色、脈診、などで、使う薬剤を選びます。
(7)漢方薬の調剤学、処方学…よりよい品質の生薬(材料)を用いて本来の製法で作った漢方薬を提供することが大切です。
(8)汗吐下和法の投薬原則…漢方の大原則です。例えば葛根湯は発汗させて病を治す薬です。
(9)禁忌(適応範囲の制約)…熱を持っている人に、温める薬を入れると、のぼせてしまいます。

こういうことを考えながら、漢方薬を選び処方を行っております。

ヴィヴェンシアクリニック 野町

お屠蘇(おとそ)

漢方 , 美容漢方

2014年12月12日

今日は、お屠蘇(おとそ)についてのお話。

正月に家族揃って、お屠蘇をいただき、気分を一新して新年を迎えるのは、日本の美しい伝統です。

年の始めに飲めば、その年は災厄を避けられて幸福を招くと伝えられている縁起物ですね。

ところが面白いことに、お屠蘇の始まりは邪気祓い(じゃきばらい)に始まっているのです。

お屠蘇の由来は、屠蘇散(とそさん)という漢方薬で、中国の三国時代(1500年前)の名医の華佗(かだ)が作った漢方薬と云われ「邪気を屠 (ほう)り、魂を蘇(よみがえ)らせる」と云われるところから屠蘇と名付けられました。

邪気祓いの呪術的要素の強い薬用酒だったのです。

日本には今から1200年前の弘仁二年(811年)中国の蘇明が来朝の時伝えたもので嵯峨天皇が四方拝の御儀式の後に御用いになったのが始まりで、以後今日まで民間でも天皇に習い、元旦に一家の無病息災と幸福を迎えるために服用しています。

江戸の初めに日本に伝わった『本草綱目(ほんぞうこうもく)』という漢方の本によれば、「一人飲めば一家に疫なく、一家がこれを飲めば一里四方に疫なし、元日に飲めば年間に病なし」とあります。

このころから、屠蘇は庶民の間でも、邪気祓い、延命長寿を願って元日から三が日の間に飲む薬用酒となりました。

江戸後期になると、屠蘇は医者が患者様に年末に節季(せっき)払いの薬代の返礼として贈ることが習わしとなりました。

「飲み逃げして薬種屋で屠蘇を買う」、これは薬代を払わなかった患者が医者から屠蘇を貰えないために、薬種屋に買いに来たという当時の川柳です。

「薬種屋で屠蘇を買うのは無病也」とも詠まれています。医者に縁のない人は薬屋で屠蘇を買ったからです。

屠蘇散の処方は、
気剤として桂皮(けいし=シナモン)・山椒(さんしょう)・防風(ぼうふう)・酒、
水剤として赤小豆(せきしょうず=あずき)・蒼朮(そうじゅつ)・土伏苓(つちぶくりょう)・桔梗(ききょう)・烏頭(うず=トリカブト)、
血剤として大黄(だいおう)から構成されて、

健胃・整腸・利尿・鎮咳・去痰・防腐・解熱・解毒・発散などの効果があり、水毒を去り保温の効果が顕著です。

日本では烏頭の毒性を怖れて省いていますが、北の守りの寒さ避けの主藥ですから、無毒化された生薬を使えば、冬の保健薬としての藥効を強化するものです。

(日中医薬研究会 渡邊武先生 講義より)

これらの生薬を、大晦日の夜に清酒に浸けて、元旦の朝に取り出し、家族一同で頂きます。

お正月は美味しいおせち料理とお酒を、ついついたくさん頂いて、お腹と体に負担をかけてしまいます。それを予防する意味が、お屠蘇にはあるのです。

水毒は、美容の大敵ですよ。皆様、是非、お屠蘇を召し上がれ。

年の瀬も押し迫ってきました。皆様、お体をご自愛下さい。

    ヴィヴェンシアクリニック院長 野町 健